非合理な駅伝実況
今年の箱根駅伝は、青山学院大が2年ぶり7回目の総合優勝を果たしました。
10人のランナーが襷(たすき)をつなぐ東京大手町~箱根間の往復217.1㎞を、マスコミは以下のような論調で実況しました。
「往路は流れに乗って、復路で一気に勝負に出るのが駅伝のセオリーです」
「離されでも無理せず見える位置で自重すべきですね」
「2区からの流れを維持するのが3区の重要な役割です」
等々…
駅伝の解説者って頭おかしいの?
ヤラセのから騒ぎ⁉️
実況解説者は、駅伝の勝敗は戦略に依存するとして、かような虚言を連ねて駅伝中継を盛り上げようとしています。
生物学的には、哺乳霊長目ヒト科ヒト(所謂人間ですね)が、20km程度の区間を走行する場合、「等速で走り切る」もしくは、「最後の数百メートルを全力疾走して余力を残さない」ってな走法が一番良いタイムが出ると思われます。
そして、後述するように駅伝はタイムレースです。実況放送で言及された戦術でタイムが向上するとは思われません。
テレビ局は、勝敗が戦術に依存するという誤謬を造説することで競技を複雑化させ視聴率を稼ごうとしているのでしょうか?
駅伝競技の勝敗の仕組みは単純です。
駅伝の勝敗とは 〜集合論的考察
駅伝は団体競技ではあるものの、その仕組みは、「要素(選手)をいくつかの集合(チーム)に振り分け、各集合の要素の和(総合タイム)が最小である集合を勝者とする」という競技です。
集合の中にある要素間(選手同士の)の相互作用(接触など)はありません。
集合と要素はこんなイメージです
そして、集合(チーム)の成績は、要素(選手)の属性(能力)のみに依存するのです。
確かに、「前方走者の真後ろに付いて風圧を小さくする」、「一気に抜き去り相手の戦意を喪失させる」など多少の競技者間(要素同士)の戦略(相互作用)は存在しますが…
もとより、各大学の駅伝選手が一斉に走行するのは、時間の節約と気象などの走行条件を揃えるためでしょう。もちろん、興行として観客を動員するのが最大の事由ではあります。
然し、格闘技や球技とは異なり、駅伝の相互作用がタイムに大きく影響することはありません。
駅伝は、個人競技であり、タイムとの戦いです。
だから、駅伝ランナーは誰と一緒に走ろうが各個人の記録は独立事象であり他の競技者に縁はないのです。
単なる時間との戦いならば…
長距離走のような基礎体力を競う種目に妙手はありません。総合タイムが最小になるように走者と区間の割り当てを最適化するというのが唯一の戦略です。
箱根駅伝は、1区から10区までの10名と補欠枠6名の中から区間エントリーを行うことになっています。
とするならば、駅伝でとれる最善手は以下の通りです。
▶︎まずエントリーする16人全員の1区から10区までのタイムを計測します。
※往路の上り坂は復路では下り坂になり、風向きも逆になります。つまり、往路と復路では区間の条件が異なるので、片道だけではなく往復10区全てのタイムを計測する必要があります。
▶︎16人から10人を選んで10区に割り当てる順列は16P10通り。即ち…16×15×14×13×12×11×10×9×8×7=29,059,430,400(通り)
この約290億通りの10区間への選手割り当ての合計タイムを全て調べ上げます。
※さらに条件を付加して絞り込みをかけることで調べる順列の数は極端に小さくすることができます。なので、パソコンで最適解を見つけることは可能です。
▶︎そして、約290億通りの組み合わせの中で、その合計タイムが最小値となるチーム構成で試合に臨みます。
それで負ければ「仕方がない。能力が足りなかったのだ」と諦めるしかないのです。
駅伝チームを強くするには
現実的には、出場大学の実力は以下の3要因に依存します。
①才能ある高校3年生を入学させて駅伝部に入部させる(依存度60%)
②駅伝部の選手を数年間のトレーニングで能力アップさせる(同30%)
③駅伝当日に選手の体調をピークに持っていく(同10%)
つまり、箱根駅伝のスタート前日の元旦にすでに賽は投げられていたのです。
駅伝実況アナウンサーが声を張り上げて姑息な戦略を連呼するのは不毛な戯言なのです。
凋落が続くテレビ放送
年末の「韓流ゴリ押し歌合戦」に続き、年明けは「虚構空騒ぎ駅伝」…
テレビ放送は 今年も破滅に向けて突き進むのだろう。 合掌🙏