こに〜 の ざれごと

日常生活の小さな疑問や発見をアイロニカルに 綴りました… っうか単なる戯言です。

藤井聡太八冠の強さの数学的考察〜その1〜タイトル戦は負けなしの22連覇

 

 

※ 本稿での藤井聡太の棋戦成績は2024年6月2日時点のものです。

藤井聡太が八冠制覇

昨年、将棋の藤井聡太八冠(以下敬称を略し藤井)が21歳の若さで、永瀬拓也から王座を奪い、前人未到の全八冠独占を達成しました。

f:id:Conichan:20240607140722j:image

 

そして、2024年5月27日、豊島九段との名人戦七番勝負の第5局に勝利し、4勝1敗で初防衛を果たしました。これでタイトル戦は負けなしの22連勝で自身が持つ最長記録を更新し、全8冠を堅持しました。

現役棋士約175人の天才が鎬を削る将棋界において、藤井がなぜここまで突出した強さでタイトルを独占しているのだろう?

その強さの要因を考察してみました。

 

 

八冠独占の基盤は高い勝率⁉️

藤井の通算成績です。

f:id:Conichan:20240607140814j:image

5勝1敗ペース、つまり勝率8割超え(8割3分3厘)です。

2016年12月24日、史上最年少の中学2年でのデビュー以来、 タイトルホルダーとなってからの対戦相手の殆どが強豪棋士との防衛戦にも拘らず毎年8割以上の勝率をキープしています。

4〜5段の新人がC級棋士を相手に達成した勝率8割ではないのです。

これがどれだけすごいか、プロ野球の優勝チームの勝率と比べてみましょう。

f:id:Conichan:20240607140946j:image

プロ野球の優勝チームの勝率は、セパ両リーグとも6割1分台です。

勝負事は2勝1敗ペース(6割6分7厘)であれば 高勝率と言えるでしょう。

ましてや5勝1敗(勝率0.833)ならばタイトルが藤井のもとに収斂するのは必然の現象なのです。

タイトル戦は番勝負なので更に藤井優位となります。

※番勝負とは、複数回の対局を行い、勝数が多い方を優勝者等とする仕組み。将棋のタイトル戦は5又は7番勝負。

具体的にタイトル戦(番勝負)での藤井の勝利確率を計算して、藤井がタイトル戦で22連覇していることの要因が8割3分3厘という勝率に由来することを確認してみます。

 

 

7番勝負で藤井八冠が勝つ確率

計算結果は以下の通りです。

f:id:Conichan:20240607162059j:image

※ mCnとはm個のものの中から n個を取り出すときの組み合わせの総数です。この計算では「4個から3個を取り出す」は「4個から1個を取り出す」と同値なので計算が簡略になるよう変形しています。

1回の対局における藤井の勝率を80%と実績より低めで計算しても7番勝負のタイトル戦の勝率は約97%です🙀

20回タイトル戦を戦って負ける確率は一回以下です。

それだけ8割超えの勝率はとんでもない記録なのです。

※ 藤井八冠は、タイトル戦での通算勝率も8割を超えています。

 

そして、その結果がコレ!

f:id:Conichan:20240607140852j:image

今後、藤井八冠がタイトルを失うとしたら、5番勝負(先に3勝したら勝ち)で争われる叡王、王座、棋王棋聖の4つのタイトルのいずれかになると思います。他の四冠は7番勝負なので藤井八冠の失冠確率は大幅に小さくなります。

 

藤井八冠の強さの本質とは

藤井のタイトル八冠独占を可能たらしめたのは突出したした勝率であることが明らかになりました。

しからば、藤井の高勝率の要因は何だろう?

                          その2 に続く