桜の真骨頂とは…
今年は、三月の中旬から、神田川遊歩道の桜の変化を投稿してきました。
本稿はその最終稿です。
現在は四月の中旬、桜花は一番の見せ場を迎えます。
即ち…
満開の桜は単なる視覚的な美でしたが、散り際の桜には不如意で切ない時間の移ろいが可視化されていました。
葉桜お七 〜花吹雪の果てに…

「夜桜お七」 歌唱 坂本冬美
咲き誇った桜花も花吹雪となり葉桜だけが残りました。
花がひとときにして散るように、女性の美もまた、ひそやかに過ぎゆきます。
「夜桜お七」で踊躍した坂本冬美も、晩春の桜花の如く消散してしまいました。
三島由紀夫も散りました
三島由紀夫の辞世の句です。
散るをいとふ 世にも人にも
さきがけて 散るこそ花と
吹く小夜嵐
三島は1970年、絶筆となった「豊饒の海」の最終巻「天人五衰」を書き終えたその日に市ヶ谷の自衛隊総監部で自決しました。
散りゆくその刹那に未練を残さず、いさぎよき美を極めて刀を腹に突き立てました。
三島は自らの身を以って散りゆく桜の無垢の美を実践しました。
そして、神田川でも…
満開の桜の華やぎは、ほんの束の間の夢でした。

疾風の如く花びらははらはらと舞い落ちています。
淡き命を手放してゆくその姿は、未練を知らないいさぎよさに満ちています。
散ることを恐れぬ穢れなき儚き美しさゆえに、桜は永遠に深く心に残るのだろう。