前編では…
国電の改称を、公募により募集したにもかかわらず、選考委員会は、応募の結果を無視し、「E電」というチンケな名称を採用し、その結果、現在、その名称は死語となってしまった…
ということを述べた(下記リンク)
https://conichan.hatenablog.com/entry/2020/07/21/085218
それから30年…
歴史はJR東日本によって繰り返される。
▶︎まず、出来事の概要。
JR東日本は山手線の田町と品川の間に新駅を2020年に暫定開業させた。
そして新駅の名称は、予め2018年一般公募を行なったうえで、選考委員会が定めた。
公募で集まった駅名案は6万4052通、E電の公募の時とほぼ同数の応募だ。
公募で1位だったのは「高輪駅」の8398通で、2位「芝浦駅」の4265通におよそ2倍の大差をつけている。以下「芝浜」「新品川」「泉岳寺」「新高輪」「港南」などが続いた。
ところが、選考委員会が選択したのは、応募数わずか36通(130位)の「高輪ゲートウェイ」であった。
「E電」が選ばれた際の、20位(390通)よりも下位からの採用だ。
▶︎ 圧倒的な得票数で1位だった「高輪」を抑えての「高輪ゲートウェイ」の決定に不満の声が続出した。
名称の撤回を求める署名運動が起こり、47,934人分の署名が提出された。
▶︎ だが、命名権を持っているのは、国鉄とは違い民間企業であるJR東日本である。
また、同社は公募にあたり最大票数を得た候補に決めるなどとは表明していない。
だから、第三者が目くじら立てて文句を言う問題ではないのかもしれない。
JR東日本としても、公募で一番多かった「高輪」という語句を含めたことで、一応、公募の顔を立てたという思いがあるのかもしれない。
だが、地域住民の感情や鉄道というものの公共性などを考えれば、配慮が足りないというような気もする。
▶︎ただ、この選考には、「E電」選択の時とは違い、「高輪ゲートウェイ」としたことのコンセプトのようなものが明確に示されている。
①近傍に江戸の玄関口として重要だった高輪大木戸がある。その特殊な立地をゲートウェイという字句で表している。
② JR東日本はこの新駅開業とともに、「グローバル ゲートウェイ 品川」という名称で、周辺地域と連携した国際的に魅力のあるまちづ くり進めている。
なんだぁ…
ゲートウェイありきじゃないか!
それなら公募にせず、JR東日本独自で決めればいいじゃないか。
独断で決めたと言われる懸念を払拭するために一般公募にしたのなら…
公募の際、予めこのあたりの趣旨をよく説明し、「入り口」や「玄関口」のようなニュアンスを内在させるという条件を添えるべきではなかったろうか。
公募に参加した人は、
バレンタインデーに、安価なキットカットを貰ったような誠意のなさをJR東日本に感じたのではないだろうか。
▶︎でも、この「高輪ゲートウェイ」、世論が酷評するほど悪くないですね。
ちょっと冗長だけど、逆にそれが「粋」のようなものを漂わせている。
•「一本刀土俵入 」(歌舞伎演目)
•「腕挫十字固(うでひしぎじゅうじがため)」(柔道の関節技)
•「地獄八景亡者の戯れ」(落語の題目)
…などの名称に宿っている、
いなせな お江戸の心意気…
のようなものを感じる。