ここ数ヶ月のコロナ禍の間に、マスコミや広報によって様々な怪しい英語フレーズが創られている。
その中には、意味が曖昧であったり、子供には理解不能なものも少なくない。
列記してみる。
▶︎ウィズコロナ(with-corona)
小池知事が多用している。
ウィズコロナの意味は、
ワクチンなどでコロナウイルスを封じ込める手段を獲得するまでの時限的な期間のこと。
…と推定する。
でも、自然な解釈をすれば、
ずっとコロナウイルスと共存していきましょうね。そのため、現在実施している様々な面倒を習慣化した日常を確立しましょう…
ともとれてしまう。
曖昧である。
また、発言者の人柄のせいかもしれないが、衒いが感じられるイヤな表現だ。
▶︎ポストコロナ(post-corona)
言いたいことは、
コロナ禍を変曲点として、劇的に変化した新しい社会フェーズの模索…
といったところだろう。
だが、ニュアンスとしては、
コロナに代わって、新たな感染症が台頭してくる…
という感じがする(ポスト安倍のような用法)
ポストコロナの対語にあたるプレコロナ(pre-corona)はあまり聞かないが、類語であるアフターコロナ(after-corona)はたまに耳にする。
でも、その対語であるビフォーコロナ(before-corona)は殆ど使われていない。
なんとも解りにくい。
▶︎パンデミック(pandemic)
語源はギリシア語のpandēmos でpan(全て)+ dēmos(人々)
→感染症の大流行
ということで語意が一意的で、客観的解釈が可能である。
ただし、注意を促す広報など、対象が幅広い年齢層の国民である場合に用いる語句としては不適だろう。
小学生にも分かるような、もっと軽易な日本語を使うべきだ。
パンデミック→コロナ感染の大流行
という置換で、より具体的かつ明確に伝わるだろう。
(「コロナ禍」という短い語で置き換えてもよいが、話し言葉だと解りにくい)
▶︎ソーシャル ディスタンス(social distance)
感染防止のため、人と人との距離を2m程度とりましょう…
という趣旨であろう。
しかし、聞く人によっては、distanceは物理的な距離ではなく、個人と個人との関係での親密性の度合いを示していると解釈されかれない。
注意を喚起するための文章に用いる語彙は、もっと明快で簡潔なものを選択するべきだろう。
▶︎ このように、正確な文意を伝えるべき文章に、なぜ漠とした英語を用いるのだろう。
新人女性歌手のデビュー紹介文言ならまだしも…
「クリアなビートとキュートなルックスで揺れ動くティーンエイジの想いをフレッシュなポップチューンで歌いあげる」
なんてのは、感覚的なものだから、まだギリギリ甘受できるが。